イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の、実話を基にした物語。
本作の舞台は20年代だけれど、他の年代を舞台にした映画を思い出してみても、ロサンゼルス警察ってところは、よくよく腐敗が続いているんだね。そんな話を相方としながら帰路につきました。
誘拐された息子ウォルターが5ヶ月後に帰って来た。が!! その少年は息子ではない。「息子を探して」と警察に懇願する母親。そりゃ、そうだ。でも警察は「あなたは混乱しているだけです」とか「母親を放棄しようとしている。ひとりの時間の楽しさに味をしめた」と、それはそれはとんでもないことを言い放ち、挙げ句は母親を精神病院にぶち込んでしまう。この母親と警察のやりとりが多い前半、腹立たしいことこの上なし。「なんだ、このおまわりはーーー!!!!」と、心の中で叫びながらイライラしっぱなしでした(苦笑)。
身長が7インチも「低く」なっているのに、「息子さんです」と言い張るその神経。保身のためならどんな嘘でもつけるんだね。いや、厳密には嘘をついているわけではないのかもしれない。イリノイ州で「僕がウォルターです」と名乗り出た身代わり少年は、実話によれば、「スターに会うためハリウッドに行くお金が欲しくて警察を利用した」らしい。映画の中では、彼をウォルターに仕立てたのが警察であるかのような表現もしているので、そこは断言できないのだけど、もし少年が自分で名乗ったのなら、警察は嘘をついたわけではなく、ひたすら怠慢で、なおかつ間違いを認めない(=自分の身だけが可愛い)、いずれにせよ、最低野郎なわけだ。
アンジー演じる母親が、次第に、息子を取り戻すために「強く」なっていく様には惚れ惚れ。
実在の彼女は生涯息子を探し続けていたという。そうせずにはいられなかった気持ちを思うと、胸が痛い。
イーストウッドらしい、丁寧で、真面目な映画。人間の暗部と、命をかけてでもというパッションの対比が、静かに描かれている。秀作です。