Interviews


2007年春。最新作『イージー・タイガー』のリリースを前にニューヨークでの取材に応じたライアン。ただし、ここに掲載するインタビューは、こちらが制作した質問状をもとに、現地レコード会社のスタッフがインタビューしたものであることを念頭に置いて読んで頂ければ幸いだ。カーディナルスとのライヴもレコーディングも順調に進む中、遂に禁酒にもトライし始めたライアンのご機嫌は上々だが、相変わらず話の筋道はなかなか定まらないのであった。
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昨年2006年は、ソロになって以来初めて『アルバム・リリースのない年』になりましたが、あなたがソングライティングをしていなかったわけではなく、実際公式サイト等では新曲(あるいは実験作)が聞けたりもしました。あなたはどんな時に(どんな条件が揃うと)「アルバムを作ろう!」と決めるのですか? 「俺にとってアルバムっていうのは、いずれヴァイナルとして買えるものってこと。つまり、そういうフォーマットで考えられなければ俺は“アルバム”と呼べないわけ。でもまあ、マーケティングとか制作とか、そういうことを考える前に、そういうコンセプトで作られたレコードはグレイトであって、俺も作ったし、買ったこともある。俺は音楽が大好きだからそういう考え方になるんだろうね、たぶん。できることはしたいよ。あと、(彼自身のサイトを通じて)オンラインで売られた“レコード”についてだけど、どれも、いわゆるコメディだったんじゃないかと思うよ。もちろん完璧に音楽ではあるんだけどさ。トレンディじゃないし、ファニーで、ちょっと狂ってて。その時は、そういうの作ったら楽しいと思ったんじゃないの。ちょっと笑えるアイディアをウェブサイトで分かち合って、みんなを笑顔にさせられたらなって。だから喜んで載せたんだよ。まあ、俺から見ると、インターネット・ミュージックはモンティ・パイソンみたいに不条理主義だと思ってる。これで笑えるのは、俺を含む僅かな人間かもしれないけど、今の世の中には合ってるんじゃないの? 職場にいるヤツがちょっと笑いが欲しいからって、そいつらのために莫大な金を使って音楽を提供する。とはいえ、たしかにいい物もあるからね、中には。えーと、それから2006年はリリースがなかった件について。どうしてそんなことになっちゃったんだろう。俺にもよくわからない。けどまあ、もう2007年になったんだから、いいんじゃないの?
この『Easy Tiger』に関して、何かこれといったきっかけがあって、制作に着手したのでしょうか? 「『Easy Tiger』は、おそらく、俺が気づくはるか前に生まれてたんだろうな。俺はただ、俺の人生の中の素晴らしい人々におまかせして導いてもらっただけ。雰囲気が落ち着くまで少しかかったけど、今はかなりハッピー」
収録曲はこのアルバムを作ることを前提に書かれていますか? それとも、日常的に書いている曲の中からアルバムのために選んだのでしょうか? 「今回は曲が先、アルバムがあと。これまでは、アルバムを一気に作る感じだったんだけど、いい変化になったよ」
新作を聴いた印象は「穏やかにして簡潔。思慮深さも伺えるけれど、聴き手を惹き付けるフックや遊び心も忘れていない」というものでした。全13曲で約40分というのは、最近の作品では珍しいほど簡潔ですが、それは意識してのことですか? 「最初からシンプルで簡潔なレコードを目指してたんだ。けど、実はそれに慣れるのって、俺のような人間には難しいんだよね。いわゆる、分かち合うものを少なくするっていうかさ。別に俺が天才だとかエライとか言わないけど、そういう風に(つまり、たくさん音楽を提供すること)しないと間違ってるかなと思って。だた今回は、何がレコードとして成り立つか、そして成り立たないかの、すごくいい勉強になったよ。将来的には、節約のコンセプトをもっと実験してみたいね。だってさ、俺はこれまで大いに他人の時間を無駄にしてきたからさ! 芸術の域といえるほど(笑)」
フィル・レッシュとのライヴもしかり、近年カーディナルスを従えてのステージでは、しばしばジャム的なセッションを聞かせてもいるので、アルバムにももしかしたらジャム・バンド的アプローチの曲が入るかな?と思っていたのですが、やはりライヴとアルバムではあなたがやりたいこと、求めるものも違うということでしょうか? 「ライヴ・コンサートは常に、言うなれば、テキストの解釈でなくてはならない。そしてテーマをいかに膨らませるかについては、より濃縮されたテキストがあればより効果的だと思うよ」
タイトルに関する逸話は、スティーヴン・キングの書いた最新バイオグラフィにありましたが、ここに収録されている曲に関しては、恋愛関係をはじめとする人間関係をテーマにしたものが中心だと言っていいのでしょうか? 「完璧な本音をいうと、一つ一つの曲の意味については日替わりで変化する。そもそも長い期間に書かれているからね。でもその分、時間が経っても飽きる確率は低いと思う。すごくエキサイティングだよ。あと、今回はあんまり文句を言ってないね。とはいえ、一つの恋愛関係について書かれたロマンティックな作品じゃないんだ。ああよかった」
あなた自身、覚えていないかもしれませんが、以前「俺の問題は、いつも間違った女性を選ぶこと」とインタビューで話していたのですが、問題解決の糸口は見えてきましたか? 「『俺の問題はいつも間違った女性を選ぶこと』? ふーん。覚えてないなあ。けど、まあ、俺っぽいっちゃー俺っぽいな」
『コールド・ローゼズ』発表後のインタビューであなたは「俺も徐々にだけど大人になっている」と話してくれました。あなたにとって大人になるというのは、具体的にどんなことを指しますか? 「その時は、少し大人になったという意味で言ったんだろうね。毎日何かが違うからさ。白髪、背中の痛み。ペースが落ちる、息があがる。インディ・ロックのショウにフィットできない、とか。俺の人生は新しい場所へ移りつつあるんだ。まあ、人生をプールに例えるなら、俺は浅い方に少し長くいすぎたってことよ。今は水を抜いちゃったからね。で、時間のある時にcoping(レンガ塀などの笠石とか笠木(かさぎ)
《塀などの頂部の横材》)を粉々にしてるってわけさ」
現在、禁酒中だそうですが、禁酒のきっかけは? それもまた大人になるための手段のひとつなのでしょうか? 「まず、禁酒をするためには、この手をグラスから遠ざけなければならない。でも俺の問題は、いかに消えるかってことにあった。俺は自分を消すことができなくて、あとはマジックしかないわけよ。だったらいっそ、消えるんじゃなくて現れようってことになって、そこから成果を出そうって思った。今のこの場所の方が、俺が消えていこうとしていた場所よりずっといいからね。いい感じだね」
さしつかえなければ、フジ・ロックでのこと、一体何があったのか?を教えてください。また、あなたは、日本に対してどのようなイメージを持ちましたか? 「フジ・ロックでは、雨が降って雷が鳴り始めた。俺が心配したのは、自分のこともそうだけどオーディエンスのこと。俺の意見では、かなりの確率で感電するんじゃないかと思った。あと、フジで演奏するための移動もかなりきつくて、俺もメンバーも疲れ切っていた。おかげでお互いどうもちぐはぐでね。それから、俺は物凄く車酔いするから、案の定行きの移動でへろへろになっちまった。以上すべての要因が合わさって、俺は不利な立場に置かれてしまった。それは自然に対してもね。俺の負けさ。けどまあ、大丈夫だよ。俺は変わった回復の仕方をするし、できることならもう一度行って楽しみたいよ。本当に悪気はなかったんだ。すごくラヴリーな国だと思うし、あと、いろんな所にあるLCDのライティングがキレイで魅せられたなあ。俺はいつもじっとライトを見てるのが大好きなんだ」
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ライアンの最新アルバム
RYAN ADAMS
LATEST ALBUM
『イージー・タイガー/EASY TIGER』
<CD>UICM1044 ユニバーサル・ミュージック
 
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NEAL CASAL LATEST ALBUM
『No Wish To Reminisce』
<CD>GT1008 GOATEE
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