夕方、オースティン空港に到着。この時期のオースティン空港には特設ステージが登場し、地元ミュージシャンによるライヴが行なわれている。空港でもライヴが観られるなんて!と、初めてこの光景を見た時には、えらく感激したものだ。空港から友人を頼ってダウンタウンのホテルへ。音楽部門がスタートするのは明日からだが、今日からバッヂ(参加登録者はみなこのバッヂを首から下げて歩く。ここには自分の名前、居住地/国、所属/会社名が明記されている)の受け取りはできるので、早速コンヴェンション・センターに。それほどの混雑もなくバッヂとプレス用のフォト・パスを受け取り、夜は友人一行と中華料理でわいわいと。

昼過ぎにシカゴから来る友人A君とで合流の約束。でも、その前に、お気に入りのメキシカン・レストランでランチ。その後無事A君と合流して出かけたのは、13時からのショウケース@どこかの駐車場(苦笑)。

お目あてはカナダの
Magneta Lane。実は、日本盤が出ていることを知らなかった私、友人Aに薦められるがままに観たのだが、女子3人組のバンドにしてはなかなか演奏がパワフル。L7を王道ロック・バンドにしたような、というのはあまりに乱暴か。ウェービー・ヘアを振り乱してプレイするドラムの姐御は良くも悪くもインパクト大で、ベースの娘は色白で可愛い。時折パンクっぽいアプローチも見せるが、いっそのこと王道を極めた方がおもしろいのではないかしら?
それからしばらく近辺をうろうろして、夕方、NYから来たAちゃんと合流して
Beastie Boysのパネル・セッションへ。今回のビースティーズの目的は、初のドキュメンタリー映画『撮られっぱなし天国/Awesome:I Fuckin' Shot That!』のプロモーション。この映画は、50人のファンが1台ずつカメラを持ってビースティーズのライヴを撮影した映像で構成されている。監督はビースティーズのMCA。日本でも今夏の公開が決定しているので、興味のある方は、ぜひ! 彼らの話はいつでもおもしろいのだが(どこまでが本気でどこからが冗談かいまいち分かりにくいのが、また魅力!?)、顔にヒゲをたくわえたアダムがあまりに素敵で、目がうっとりのA ちゃんと私なのだった…。
パネルが終わって一休みしていると、そろそろSXSWのオフィシャル・ショウケースも始まろうかという時間になった。が、これといってこの時間帯には観たいものがなかったので、20時55分からのJack's Mannequin@LA ZONA ROSAを目指すというAちゃんにくっついてLA ZONAへ。そこで、日本のK社の皆さんに遭遇。「これから始まるVacationsが、今、LAで話題なんですよ!」という。「あら、そうなの!?」とばかりに期待を高めるも、「えーっ、これって80年代HR/HMの安っぽい焼き直しじゃないのー!?」。年も若くなさそうだし、なんだか変にやさぐれて、時代遅れムードが漂う。残念ながら、私には響きませんでした。
Jack's Mannequinに興味はあったけれど、彼はきっと日本でも観られるだろうとAちゃんに別れを告げ、AUSTIN MUSIC HALLへ。毎年SXSW 初日にはここで、オースティン・ミュージック・アウォードの表彰式が行なわれており、受賞者やプレゼンターがライヴも披露するのだ。初めて観るJon Dee Grahamのギター・プレイにうっとりしていたところへ、彼の息子Willie君(彼は進行性の難病を患っており、Jon Deeの音楽仲間達によるベネフィット・ライヴなども行なわれている)がギターを持って飛び入り! なんて愛らしい!!
また後半は
Eliza Gilyksonとの共演で、会場が沸かないわけはないのだ。Jon Deeに続いて登場したのは、
Kris Kristofferson。シンガー・ソングライターとしてだけでなく俳優としても活躍する彼のステージもまた、私にとっては初体験だったが、懐の深さを感じさせる歌と演奏に年季を感じずにはいられなかった。
Jessi Colterとの共演ももちろん素敵だったし。

急ぎAUSTIN MUSIC HALLを出て、シカゴのデュオ=M's@EMO'S JRにどうにか滑り込みセーフ。が、何も見えないに等しい。観客はやたらと盛り上がっているのが、気になる気になる。これは明日の昼間のショウケースに再度観ようと心に決め、さて、どうしよう。23時からは観たいものが目白押しで、初日から「困ったなぁー」モード全開。
Beth Orton、Cuff The Duke、World Party、Jules Shear、Chris Stills…、とそこにA君から緊急の電話が!
FOX&HOUNDに到着し、撮影の為にズンズン前に進み切ったところで、客電が落ち、ウェイン先生登場。しかもオープニングからノリノリの「ボヘミアン・ラプソディ」だ! 客席に次々投げ込まれる巨大なボール。しかーし、レストランの駐車場にテントをはっただけのこの小さな会場でこれは無謀じゃないか、ウェイン先生っ!! ステージに向かってシャッターを切っても、映るのはボールだけ(泣)の状況がしばらく続く。途中、一般人男性のプロポーズ大作戦をウェイン先生がお膳立てするコーナー!?もあり、はたまた
Peachesが乱入してぶちかまされた「黒い安息日」もあり、と、1時間弱の超エンターテインメント・ショウはあっという間に幕を閉じた。6thストリートに戻る道すがら、数人の見知らぬ人に「その紙吹雪はどうしたの?」と聞かれ、その度に「リップスのライヴでね〜」と返していたのだが、みんなが見逃したことを悔しがる姿に「ふふふ」と心の中で笑っていた。ちなみに、この翌日もリップスは小さな会場でシークレットを敢行した。

24時から演っている
The Primsouls@EXODUSを目指す。80年代CMJ好きにとっては避けて通れぬこのバンド。案の定、会場は元CMJファン(=年齢層高め)でぎっちり埋まっている。少しでもステージが見える場所を探しながらPeter Caseの声にドキドキ。やっとの思いで場所を確保し、ステージを見てビックリ! 「え、まさか、あれがPeter Case!?」。私の中ではインテリ風美形で記憶されていた彼が、すっかり……これ以上言うまい。歳月とは時にこんなにも残酷な仕打ちをするものでしょうか。それでも、演奏はめちゃくちゃよかったので、満足。80年代CMJ的流れに沿って、というわけでもないのだが、そのまま25時からは
Steve Wynn & The Miracle 3を観た。キャリアを積んで尚、溌剌としたステージを見せてくれるおじさんミュージシャンには、理屈抜きに感服する。
SXSWのショウケースは、25時スタートがラストになるので、この日はこれでおしまい。気づけば、空腹。歩行者天国となった6thストリート名物のホットドッグを頬張りながら、ホテルに戻った。